とうとう来る時が来た…?    親不孝息子が綴る介護日記


by 1po2ho3bo
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一通の手紙

ある老人ホームで、女性の死後、一通の手紙が見つかりました…

(研修の資料より)



看護婦さん
あなたはいったい何を見ているの?
あなたが私を見ているとき、あなたは頭を働かせているのかしら・・・。


気難しい年老いたおばあさん。
それほど賢くなく、
とりえがあるわけでもない。
老眼で。
食べるものをぼたぼた落とし、あなたが大声で
「もっときれいに食べなさい」と言っても、
そのようにできないし、
あなたのすることにも気づかずに、
靴や靴下をなくしてしまうのは、いつものこと。
食事も入浴も
私が好きか嫌いかは関係なく
あなたの意のままに、長い一日を過ごしている。


あなたはそんなふうに私のことを考えているのではないですか。
私をそんなふうに見ているのではないですか。
そうだとしたら、
あなたは私を見てはいないのです。
もっとよく目を開いて、看護婦さん。
ここにだまって座り、
あなたの言いつけどおりに、あなたの意のままに食べている私がだれだか、教えてあげましょう。

十歳のとき、両親や兄弟姉妹に愛情を一杯に注がれながら暮らしている少女です。
十六歳、愛する人とめぐり合えることを夢見ています。
二十歳になって花嫁となり、
私の心は躍っています。結婚式での永遠の誓いも覚えています。
二十五歳、安らぎと楽しい家庭を必要とする赤ちゃんが生まれました。
三十五歳、子どもたちは大きくなり、巣立っていきます。しかし、夫が私のかたわらについて見守ってくれているので、悲しくはありません。
五十歳、小さな赤ん坊たちが、私のひざの上で遊んでいます。夫と私は子どもたちと過ごした楽しかった日々を味わっています。
そして夫の死、
希望のない日々が続きます。


将来のことを考えると、恐ろしさでふるえおののきます。
私の子どもたちは自分たちのことで忙しく、私はたった一人で、過ぎ去った日々の楽しかった思い出や、愛に包まれていたときのことを思い起こしています。
私はもう年をとりました。
自然は残酷です・・・。
老いたものは役立たずと、あざ笑い、からかっているようです。
体はぼろぼろになり、
栄光も気力もなく、
以前の暖かい心は、
まるで石のようになってしまいました。


でもね看護婦さん、
この老いたしかばねの奥にも
まだ小さな少女がすんでいるんです。
そして、この打ちひしがれた私の心もときめくことがあるのです。
楽しかったこと、悲しかったことを思い起こし・・・・・・
愛することのできる人生を
生きているのです。


人生は本当に短い、
ほんとうに早く過ぎ去ります。
そして今、
私は永遠に続くものはない、というありのままの真実を、受け入れています。


ですから看護婦さん、
もっとよく目を開いて、私のことを見てください。
気難しい年老いたおばあさんではなく、
もっとよく心を寄せて
この私を見てください。
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by 1po2ho3bo | 2009-03-02 20:13 | 介護